ルマンドの研究ブログ

先端と事業化の狭間で揺れる研究系エンジニアの日誌です。自動走行、自律走行、コンピュータビジョンなど。

スズキ・スペーシア ステレオカメラ方式の衝突警報を採用

スズキ・スペーシアの新モデルでは、ステレオカメラ方式の衝突被害軽減システム「デュアルカメラブレーキサポート」がオプション提供されるようです。

www.suzuki.co.jp

f:id:LUMONDE:20150523202944j:plainf:id:LUMONDE:20150523202952j:plain

ステレオカメラ方式の自動ブレーキは軽自動車初、乗用車全体でもスバル、ダイムラー、レクサスに次ぐ4番目となります。

Car Watch によると価格は75,000円なので、アイサイトよりも少し安い。ステレオカメラは原価的に有利と思われていた時期もありましたが、相次ぐ各社のミリ波レーダー採用で、徐々にその差は縮まっています。実際にスズキはすでにソリオで「レーダーブレーキサポートII」としてミリ波レーザーによるシステムを提供しています。今回あえてステレオカメラを追加したのは、原価というよりも性能の向上を見込んでのことと思われます。

最初、レーダーブレーキサポートIIのように、80km/hまで警報、30km/hまで自動ブレーキのような、複数段階の速度域を持つのかと思いましたが、以下の動画の書き方では 100km/h まで制動をかけるようですね。

f:id:LUMONDE:20150523202958p:plain

ちなみにアイサイトの場合、以下の表現を使っています。

SUBARU : スバル アイサイト総合サイト 主な機能

対象物との速度差が、30km/h以内(ver.2)、50km/h以内(ver.3)であれば衝突回避。もしくは被害軽減。それ以上の速度差でも被害の軽減を行います。

カメラの仕様については詳細がわかりませんが、ベースラインが20cmという情報もあります。

ライバルメーカーにとって“驚異”となるスズキの新しい自動ブレーキ『デュアルカメラブレーキサポート』【コラム】 【オートックワン】

さて、カタログスペックはわかりましたが、気になるのは今後 JNCAP の結果がどうなるかです。ソリオの場合、静止車両して時速80km/hまでの作動を謳っていますが、FCW試験では 45km/h までしか検知できていません。もちろんシステムの作動速度範囲内だからといって、確実な検知が保証されているわけではありません。しかし実際問題、JNAPの対象車両中唯一、ミリ波レーダーを採用していながら ASV+ を獲得できていない、という不名誉な結果になっています。(ソリオより点数の低い車両はすべてレーザーレーダー。)

レーダーブレーキサポートIIの性能に満足できなかったから今回のステレオカメラ採用に踏み切ったのか、それともカタログ値と実力がかい離しがちなメーカーなのか。とにかく結果を見守ります。

2015/05/27追記: カメラは日立オートモーティブズ製との記事がありました。アイサイトと同じですね。

www.nikkan.co.jp