ルマンドの研究ブログ

先端と事業化の狭間で揺れる研究系エンジニアの日誌です。自動走行、自律走行、コンピュータビジョンなど。

車載カメラと機能安全

ON Semionductor の新しい CMOS センサが発表されました。news.mynavi.jp


LEDライトのフリッカー対策がウリとのことで、ああ確かにそういう需要もあるかな、と読み流していたら、気になる文言が。
ASIL レベルBに対応しているそうです。

ちょうど直前に東芝から発表されたばかりのセンサも、ほとんど同じような機能を備えています。
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2015_10/pr_j0101.htmwww.toshiba.co.jp

この資料だけではよくわかりませんが、メモリのECCのようなエラー検出機能でしょうか。さすがにセンサーで勘違いしてしまうことはないでしょうが、ISO26262 がバズワード化して久しい中、例えばもし今後 ASIL 対応の歩行者検知つきカメラモジュールが登場した際、機能安全対応≒高信頼性≒誤検知が少ない、とミスリードされてしまわないか不安です。実際には安全目標を達成していることを示す証拠の積み上げに過ぎないわけで、設計目標の高さとは無関係なわけですが。

個人的な偏見としては、自動車業界でカメラをやっている方は、バックモニター→カーナビ→エンターテインメント系だった方が多いような気がします。自動ブレーキの流行に合わせて、いきなりパワトレ系と接続された世界にやってきて、皆さんがどのように信頼性を設計しているのか、興味があります。

例えば車載カメラによる自動ブレーキで歩行者を誤検知し、道路上で急停車してしまうハザードをどう考えるか。自動ブレーキ作動中を操舵でキャンセルできるようにすることで、書類上はリスクアセスメントの過酷度・発生頻度・回避可能性のうち、回避可能性を上げることができるかもしれません。でも、自動ブレーキが必要な状況で、ドライバーが正常な状態にあると仮定してもよいのでしょうか。